あなたの人生を輝かせるコミュニケーションの力
A New way of Improving & Caring for Oneself


                              室 伏 順 子
オプション・メニュー              ソフィア ヒューマン キャピタル(株) 代表取締役社長

  §23.ストレスなく相手と合わせるコツ

 相手に合わせる、というと、自分を殺して、我慢して、無理をして、あるいは、相手の心の中を慮って、気を使って、という印象がありますね。でも、もうそれは、やめましょう。ここでは、もう少し、プラクティカルで、効果的な方法を考えます。

 といっても、ソーシャル・スタイルを学んだ皆さんなら、もう、今までのところで、十分理解してしまっているかもしれません。

 つまり、相手の方と接する時、その短い間だけ、自分の言動を相手のスタイルに、ちょっと近づける工夫をしてみるのです。

 たとえば、今まではいつも同じ自分のペースだった話し方を、相手のスタイルを考えたペースにしてみるだけでも、相手の方は、今までのあなたに対する見方とは、違う見方をするようになるかもしれません。あるいは、同じ話でも、相手に合わせてその中に数字を入れたらいいのか、それとも楽しいエピソードを入れたらいいのか、などを工夫することは、そんなに難しいことではありませんが、効果は大きいでしょう。また、結果を重視する相手には結果を先に伝え、プロセスや論理を重視する相手にはその部分を丁寧に説明する、なども、あなたに対する相手の方の認識を変えるものとなるでしょう。

 さて、これを実践するための、2つのヒントをお教えしましょう。

 一つ目は、§3〜§8で学んだ思考表現度感情表現度の二つの軸を思い出し、自分のいる場所と相手のいる場所が違う軸はどこかを見極め、その部分を相手に合わせるのです。

 たとえば、思考表現度が高い方が、低い方に合わせる場合は、§5にある"低い方の特徴"をそなえた言動をとってみるのです。いつも、一番に口を開いているなら、他の人が一通り発言し終わるのを待って、ゆっくりと、問い掛けるように、ソフトな口調で話してみます。逆の場合も同じです。いつもはなかなか口を開かず、名指しされてやっと話す時も、遠慮がちに小さな声で、語尾を曖昧になさる方は、たとえ考えが纏まらなくても、思い切って誰よりも早く、とりあえず何か言ってみる、自信がなかろうと、短めの文章で、端的に言い切ってみる、声をくぐもらせず、大きく口を開けて滑舌を意識して、明瞭に声を前に出してみる、などです。

 また、感情表現度も同様です。感情をよく表現する方が、そうではない方に合わせる時は、声の調子や、表情、手の動き、感情を表す言葉などを押さえ気味にして、仕事に特化した話の進め方を意識して下さい。憶測や、直観、人の意見を援用した話は避け、新聞記事や、統計数字、情報、データなど客観的な事実を織り込んで下さい。逆の場合も同じです。仕事の前の世間話は、無駄話ではなく、仕事の潤滑油と心得て、しばらく付き合ってみる、データばかりではなく人の意見や自分の主観も話してみる、微笑みを浮かべる、あまり固い雰囲気ではなく、ざっくばらんな態度を心がけてみる、などです。

 両方の軸とも違う、正反対の相手の場合は、2つの軸ともに気をつけて下さい。

 二つ目のヒントは、各スタイルの強み(§16〜19)にある、そのスタイルが重要視するものを把握し、そこを尊重するような言動をとる、ということです。時間の使い方が計画的な方に対しては、待ち合わせには早めにゆく、可能な面会時間を確認し必ずそれより短めに終える、などです。

 世間話から夢やビジョンを語ることがお得意の方には、それにお付き合いすることがまず大切ですが、そればかりに時間をとられて、本題が十分に話し合えない可能性も考え、後からでもお返事をいただけるような書類を用意することも、大切です。

 このような合わせ方ですと、目に見えない相手の心理を読んだり、自分を殺すようなことにはなりませんので、ストレスなく実行することができ、また効果も期待できます。

 ポイントは、合わせるのは、その方と接する間だけです。ミーティングの時間、一緒に過ごす時間だけです。これを常時やっていようと思うと、それこそ、ストレスが生じ、いい結果になりません。北陸のIT関連の企業に、セミナー・インストラクターとしてお邪魔した時、研修担当の方から、参加者の25人中22人がアナリティカル/思考派なので、アナリティカル/思考派になりきってやって下さい、と依頼されたことがありますが、朝から夜まで首尾よくなりきることができたのは、二日目まで。普通は数時間、と思って下さい。





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■ 目 次 ■
プロローグ (2001.12.11)
第1章 自分を知る、自分を探す
T.人とのかかわりのなかで、自分をみつめなおす
 §1.コミュニケーションのタイプ (2001.12.27)
 §2.ソーシャル・スタイル (2002.01.08)
U.2つの切り口
 §3.思考表現度とは (2002.01.15)
 §4.思考表現度の高い方の特徴 (2002.01.22)
 §5.思考表現度の低い方の特徴 (2002.01.29)
 §6.感情表現度とは (2002.02.05)
 §7.感情表現度の高い方の特徴 (2002.02.13)
 §8.感情表現度の低い方の特徴 (2002.02.19)
V.4つのスタイル
 §9.人から見た私 (2002.02.26)
 §10. アナリティカル/思考派 の特徴 (2002.03.04)
 §11.ドライバー/行動派の特徴 (2002.03.12)
 §12.エミアブル/協調派の特徴 (2002.04.04)
 §13.エクスプレッシブ/感覚派の特徴 (2002.04.09)
 §14.自分が知っている私、人から見た私 (2002.04.17)
W.あなたを活かす
 §15.ソーシャル・スタイルの活かし方 (2002.04.23)
 §16.アナリティカル/思考派
                あなたの強みと弱み
(2002.05.07)
 §17.ドライバー/行動派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.13)
 §18.エミアブル/協調派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.27)
 §19.エクスプレッシブ/感覚派の
                あなたの強みと弱み
(2002.06.04)
 §20.スタイルの活かし方 (2002.06.14)
 §21.あなたの活かし方 (2002.06.20)
 §22.人との違いを知ることで見えてくるもの (2002.07.05)
 §23.ストレスなく相手と合わせるコツ (2002.07.16)
第2章 自分を育てる
T.相手の立場にたつということ
 §24.コミュニケーションの流れ (2002.07.24)
 §25.話のできる関係を作る (2002.07.30)
 §26.相手を知る (2002.08.09)
 §27.それに応える (2002.08.27)
 §28.合意する (2002.09.11)
U.話を聴くということ
 §29.聴くことの威力 (2002.10.07)
 §30.聴く力とは (2002.10.16)
 §31.対人過敏性 (2002.10.29)
 §32.質問のスキル 〜1/10〜 (2002.11.07)
   1.事実と意見 〜2/10〜 (2002.11.13)
   2.直接と間接 〜3/10〜 (2002.11.19)
   3.気にっていることと
            気に入らないこと
〜4/10〜 (2002.11.27)
   4.魔法の杖 〜5/10〜 (2002.12.06)
   5.問い返すということ 〜6/10〜 (2002.12.13)
   6.わからない時は? 〜7/10〜 (2002.12.19)
   7.相手の答えを
          コントロールすること
〜8/10〜 (2002.12.26)
   8.5W1Hが教えてくれること 〜9/10〜 (2003.01.08)
   9.質問を受けるということ 〜10/10〜 (2003.01.16)
 §33.傾聴のスキル (2003.01.24)
 §34.情報マイニング (2003.01.30)
V.話すということ
 §35.話す目的 (2003.02.06)
 §36.準備すること (2003.02.14)
 §37.話の組み立て
   1.序論 〜1/3〜 (2003.02.21)
   2.本論 〜2/3〜 (2003.03.05)
   3.結論 〜3/3〜 (2003.03.14)
 §38.説明のスキル (2003.03.25)
 §39.話し方 (2003.04.01)
 §40.立ち居振舞い (2003.04.11)
W.納得していただくということ
 §41.創造的問題解決法 (2003.04.18)
 §42.交渉していく場合 (2003.04.25)
 §43.Noという場合 (2003.05.09)
X.喜んでいただくということ
 §44.自分を活かす (2003.05.16)
 §45.顧客満足 (2003.05.23)
 §46.ホスピタリティー (2003.06.05)
Y.自分を育てるということ
 §47.自分を育てるということ (2003.06.20)
第3章 新しい出発
T.セルフ・リーダーシップ
 §48.新しいリーダシップ (2003.08.29)
 §49.セルフ・リーダーシップ・スキル (2003.09.05)
U.セルフ・コントロール
 §50.思考・感情・言動の関係 (2003.09.12)
 §51.思考の働き (2003.09.19)
 §52.思考を変える、自分を変える (2003.09.26)
V.今を生きる
 §53.過去・現在・未来 (2003.10.03)
 §54.過去を生きる、今を生きる (2003.10.14)
W.関係性から離れる
 §55.関係性の幻想 (2004.01.07)
 §56.個を生きる (2004.01.26)
 §57.知恵を取り戻す (2005.03.07)
 §58.知るということ (2005.03.07)
X.夢を育てる
 §59.必要なだけの努力 (2005.03.07)
 §60.あなたを満たす10のメニュー (2005.03.07)
 §61.あなたを満たすと起ること (2005.03.07)
Y.自分自身になる
 §62.価値の転換 (2005.03.07)
 §63.自分自身になる (2005.03.07)

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