あなたの人生を輝かせるコミュニケーションの力
A New way of Improving & Caring for Oneself


                              室 伏 順 子
オプション・メニュー              ソフィア ヒューマン キャピタル(株) 代表取締役社長

 第3章 新しい出発
  T.セルフ・リーダーシップ


  §48.新しいリーダーシップ

 
自分が満たせて、初めて相手を思いやるスキルを効果的に使うことができます。自分を満たすには、自分を知り、認めることです。自分を満たし、相手を満たし、日本が満ちて、国際競争力もついてきます。

 意識段階の変化は、リーダーシップの本質も変えていきます。

 依存型の意識がつくる社会は、「ピラミッド型」です。そこでは、人の個性や違いは評価する必要もなく、何が正しいかという議論さえ無意味で、誰が正しいか(それは、ピラミッドの頂点にいるのです)がすべてでした。ピラミッドの頂点を目指しての絶え間ない競争や比較が行われ、そのストレスたるや大変なものですが、それは延々と続きます。この凄まじい競争のエネルギー源は、お金や権力です。

 この時代のリーダーシップは、まさに“権力”です。権力というのは、最も依存的なリーダーシップです。誰かからエネルギーなどを奪わなければ存在し得ないわけですから。そして、それに身を任せる側は、個としての責任は少なく、まわりを見ながらそれに合わせて行動を起すようになります。このあり方では、ピラミッド社会のエネルギーや生産性は、一人一人の構成員全員の総和よりも少ないことになりそうですね。

 それが、人の個性や違いを認める「自主・独立型」になってくると、一人一人は、何にも寄りかからず、フラットな関係で、個として点在するようになります。自分でリスクをとり考え判断する人々を、権力で支配することはできず、ここでのリーダーシップは、人としての魅力、人間力とでも呼ぶのがふさわしいような力で、“影響”を与えていくものになります。ここでは、一人一人の総和がそのまま全体としての力になるでしょう。

 さらにそれが、個性や違いを活かしあう「インターインディペンデント型」になると、人は、まわりに影響されず、自分の価値観に従って、自ら行動を起していくようになります。自分というものは、もう当然のこととして誰にも影響されない個として存在するのですが、その個は、お互いに切り離されたものではなく、あたかもインターネットのように、根底で綿密に繋がっています。情報は素早く伝わり、分かち合いや必要な協力、相互扶助が自然発生的にそこここで起ります。ここでは、調和に向けての力が働きます。

 
さて、ここでのリーダーシップはどのようなものでしょうか?それは、“質問”型のリーダーシップとでもいうのでしょうか、相手を受け容れることで、相手から、より大きな力を引き出していく、そんなリーダーシップです。ですから、ここでは、一人一人でいる時の総和をはるかに越えることが、全体としては起ってきます。

 
このようなリーダーは、「ピラミッド型」、「自主・独立型」のリーダーとは趣が異なり目立たないので、一見してどこにいるのかわかりにくいかもしれません。自分の力でのリーダーシップではなく、相手の力を引き出すリーダーシップ。凝縮性ではなく受容性。昨今の世の中を見ると、そろそろ、そんなリーダーに時代を任せた方がいいのかもしれません。あなたのまわりに、そんな方が、いらっしゃいませんか?




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■ 目 次 ■
プロローグ (2001.12.11)
第1章 自分を知る、自分を探す
T.人とのかかわりのなかで、自分をみつめなおす
 §1.コミュニケーションのタイプ (2001.12.27)
 §2.ソーシャル・スタイル (2002.01.08)
U.2つの切り口
 §3.思考表現度とは (2002.01.15)
 §4.思考表現度の高い方の特徴 (2002.01.22)
 §5.思考表現度の低い方の特徴 (2002.01.29)
 §6.感情表現度とは (2002.02.05)
 §7.感情表現度の高い方の特徴 (2002.02.13)
 §8.感情表現度の低い方の特徴 (2002.02.19)
V.4つのスタイル
 §9.人から見た私 (2002.02.26)
 §10. アナリティカル/思考派 の特徴 (2002.03.04)
 §11.ドライバー/行動派の特徴 (2002.03.12)
 §12.エミアブル/協調派の特徴 (2002.04.04)
 §13.エクスプレッシブ/感覚派の特徴 (2002.04.09)
 §14.自分が知っている私、人から見た私 (2002.04.17)
W.あなたを活かす
 §15.ソーシャル・スタイルの活かし方 (2002.04.23)
 §16.アナリティカル/思考派
                あなたの強みと弱み
(2002.05.07)
 §17.ドライバー/行動派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.13)
 §18.エミアブル/協調派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.27)
 §19.エクスプレッシブ/感覚派の
                あなたの強みと弱み
(2002.06.04)
 §20.スタイルの活かし方 (2002.06.14)
 §21.あなたの活かし方 (2002.06.20)
 §22.人との違いを知ることで見えてくるもの (2002.07.05)
 §23.ストレスなく相手と合わせるコツ (2002.07.16)
第2章 自分を育てる
T.相手の立場にたつということ
 §24.コミュニケーションの流れ (2002.07.24)
 §25.話のできる関係を作る (2002.07.30)
 §26.相手を知る (2002.08.09)
 §27.それに応える (2002.08.27)
 §28.合意する (2002.09.11)
U.話を聴くということ
 §29.聴くことの威力 (2002.10.07)
 §30.聴く力とは (2002.10.16)
 §31.対人過敏性 (2002.10.29)
 §32.質問のスキル 〜1/10〜 (2002.11.07)
   1.事実と意見 〜2/10〜 (2002.11.13)
   2.直接と間接 〜3/10〜 (2002.11.19)
   3.気にっていることと
            気に入らないこと
〜4/10〜 (2002.11.27)
   4.魔法の杖 〜5/10〜 (2002.12.06)
   5.問い返すということ 〜6/10〜 (2002.12.13)
   6.わからない時は? 〜7/10〜 (2002.12.19)
   7.相手の答えを
          
コントロールすること
〜8/10〜 (2002.12.26)
   8.5W1Hが教えてくれること 〜9/10〜 (2003.01.08)
   9.質問を受けるということ 〜10/10〜 (2003.01.16)
 §33.傾聴のスキル (2003.01.24)
 §34.情報マイニング (2003.01.30)
V.話すということ
 §35.話す目的 (2003.02.06)
 §36.準備すること (2003.02.14)
 §37.話の組み立て
   1.序論 〜1/3〜 (2003.02.21)
   2.本論 〜2/3〜 (2003.03.05)
   3.結論 〜3/3〜 (2003.03.14)
 §38.説明のスキル (2003.03.25)
 §39.話し方 (2003.04.01)
 §40.立ち居振舞い (2003.04.11)
W.納得していただくということ
 §41.創造的問題解決法 (2003.04.18)
 §42.交渉していく場合 (2003.04.25)
 §43.Noという場合 (2003.05.09)
X.喜んでいただくということ
 §44.自分を活かす (2003.05.16)
 §45.顧客満足 (2003.05.23)
 §46.ホスピタリティー (2003.06.05)
Y.自分を育てるということ
 §47.自分を育てるということ (2003.06.20)
第3章 新しい出発
T.セルフ・リーダーシップ
 §48.新しいリーダシップ (2003.08.29)
 §49.セルフ・リーダーシップ・スキル (2003.09.05)
U.セルフ・コントロール
 §50.思考・感情・言動の関係 (2003.09.12)
 §51.思考の働き (2003.09.19)
 §52.思考を変える、自分を変える (2003.09.26)
V.今を生きる
 §53.過去・現在・未来 (2003.10.03)
 §54.過去を生きる、今を生きる (2003.10.14)
W.関係性から離れる
 §55.関係性の幻想 (2004.01.07)
 §56.個を生きる (2004.01.26)
 §57.知恵を取り戻す (2005.03.07)
 §58.知るということ (2005.03.07)
X.夢を育てる
 §59.必要なだけの努力 (2005.03.07)
 §60.あなたを満たす10のメニュー (2005.03.07)
 §61.あなたを満たすと起ること (2005.03.07)
Y.自分自身になる
 §62.価値の転換 (2005.03.07)
 §63.自分自身になる (2005.03.07)

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