【第38話】 |
美しい心、その要素には「相手を思いやる心」が必ず含まれている。
人が人を思いやる心…それが基本になり、世の中のいろんな「サービス」と呼ばれている
ものが作られたのだと思う。
なぜ、じいがいきなりこんなことを言い出したのか。
きっかけは、またまたFOXEYだったのだ。
先日、姫と二人で銀座のFOXEY本店で行われた春夏のコレクション受注会に出かけてきた。
と、言っても、じいはただ姫にくっついて行っただけなのだが、ここで再びFOXEYの御もてなしの心
に出会ってしまった。
春夏の可憐なドレスのファッションショーが披かれた会場では、ショーに先駆けてウェルカムドリンクと
オードブルが振舞われた。
姫はシャンパンを、じいはカクテルを。
ショーはまだか、今夜は寒い、お腹がすいた、餓えて死にそうじゃ、などと騒ぎつつ会場を見渡せば
たくさんのお客様が。
「この人たち、FOXEYの顧客なんですよね」と当たり前の質問をしつつ、運ばれてくるオードブル
を心待ちにする姫とじい。
二人とも、本当にお腹がすいていた。
「あのぉ、私たち、とってもお腹がすいているんですね」と、姫の声が。
振り向くと、お給仕をしてくれる黒服のお兄さんに姫が切々と訴えていた。
「分かりました。こちらで10種類ほどのオードブルがご用意できますので」
そう言い残してお兄さんは立ち去った。
ああ、これでひとまずの餓えはしのげるますね、終わったら銀座のどっかでお蕎麦でも食べましょう。
そう囁きあいながら、姫と二人、安堵のため息をついた。
お隣の席では、高校生ぐらいの可愛いお嬢ちゃんとお母様が楽しそうにFOXEYの担当者と
お話しなさっていた。
きっと、親子二世代に渡ってのFOXEY贔屓なのだろう。
ほのぼのとした光景に見とれるも束の間、その母子の席に「10種類のオードブル」が盛られた
大皿が颯爽と運ばれてきた。
呆然とする姫とじい。
「あれって、私たちのですよねぇ」
「うむ。あの黒服のお兄さんが間違ったのじゃろう」
あーじゃない、こーじゃないという二人の憶測が飛び交う中(…本当に食べ物の恨みってすごい)
お隣の素敵な母子からは「えっ!?こんなには食べられませんが」という困惑の声が。
やっぱり、あれは私たちのだと姫とアイコンタクトを取った瞬間、なぜか今度は私たちのテーブル
にも、同じ「10種類のオードブル@大皿」が。
あれ、やっぱり間違ってなかったのねという不思議な空気が流れた後、姫がなるほどという答え
を言った。
「このオードブルも飲み物もサービスでしょう?だから、お腹がすいたと訴える私たちにだけ
たくさんの種類を持ってきたら、お隣の席の方が気を悪くなさるはず。
それで、私たちのテーブルが見える席、つまりお隣の方たちにも同じものを予め運んで
おいたんだと思う」と。
ああ、そのとおりだ。
その証拠に、他の一切のテーブルには大皿ではなく小さめのお皿に5種類ほどのオードブル
を盛り付けたものしか運ばれていなかった。
「ありがとう、ふぉくしー」
またもやFOXEYの御もてなしの心に触れ、温かい気持ちになれたじい。
マニュアルではなく、思いやりに溢れたサービスは受ける人の心を癒し、感動させるもの
なのだねぇ。
これは人と人とのお付き合いの場合も同じこと。
温かい心に触れた時に呼び起こされる美しい感動は「思いやりの心」が生むものなんだと
つくづく感じた出来事でした。
…銀座6丁目の小さな奇蹟。
寒い夜の、温かなFOXEY物語でした。
追 伸
もうすぐ、バレンタイン。
FOXEYのオリジナルチョコレート、美味しくてパッケージもさりげなくお洒落だから
「女子同士」のチョコ交換などに技アリな感じかも。
じいは明日、例の塩チョコを求めて関西から来た親友のみえちゃんと一緒に青山まで。
え?塩チョコ、誰にあげるのかって?それは秘密なのだ。
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おじじ殿、塩チョコ食べたいのでござる。羨ましいですね。バレンタインは1人沖縄でござりまする