Vol.8:上司とDNA(3) |
プロマネは、日々調整に追われているため、現場のマネジメントは、サブプロマネである私に一任されていました。が、現場とA社との板ばさみ、連日深夜に及ぶ作業等から、自分のふがいなさに歯軋りし、家に帰っては悔し泣きする毎日でした。泣いては仕事に戻り、見えない壁にぶつかっては悔し泣きし、の繰り返しでした。(この辺、まだまだ若かったなぁ・・と思う今日この頃)
上司からは日々「何かあったらサポートしてやるからいつでも相談にこいよ」と声をかけて頂いていたのですが、プロマネも私も「自分達で何とかしないと」という思いが先走り、「了解です」と答えるのがやっとでした。
追い詰められたプロマネと私は、現場の仲間を引きつれ、アポ無しでA社を訪問し、ようやくY部長とMTGすることができました。ですが、現状が変わらないことを再認識させられただけでした。
プロマネと私は、ここでようやく叱られるのを覚悟で上司にエスカレーションしました。じっと状況を聞いていた上司は「大変だったな」と一言つぶやき「わかった。そこまでどうしようもない状態なら、俺も行くからA社社長に直接訴えよう」と言ったのです。
その選択肢は頭に無かったので、プロマネと私は一瞬動揺しました。ですが同時に、もう、それしか手段がないような気もしていました。腹をくくるしかありません。
そうと決めたら現場の仲間を召集して作戦会議です
作戦会議の結果、
・(何もできていない状況のまま社長に訴えると X部長の思うツボであり、Y部長の面子が丸つぶれになるので)現ネットワークについて可能な範囲で情報収集し、その情報を基にコンサルティング資料を作成してA社に提出する
・プロジェクト開始から今まで(2ヶ月分)のコンサル費用を請求する
という方針でいく事になりました。
これは、勢いに任せた無謀なやり方であったかもしれないと今は思っています。これまでの状況にフラストレーションが最高潮に達していた現場の「X部長を見返してやるんだ」というノリから一気に決まった方針だったのですが、冷静に考えてみると、2ヶ月分のコンサルティング費用を回収できるという確証は何も無かったのです。
それでも、この方針でやり遂げてみようと思ったのは、上司の「いざとなったらお前らと一緒に俺もクビになるさ。最後まで一緒に頑張って、A社をあっと言わせてやろうな(笑)」という一言があったからでした。
その後、1週間で400ページに及ぶ資料を作成し、それを手土産に上司とプロマネ、私の3名でA社社長を訪問。これまでの状況を説明しました
MTG前に上司とは入念に打ち合わせし、A社社長が我々からのコンサルティング費用の要求にNGを出した場合、席を蹴ってその場を立ち去ることまで決めていました。(この辺の発想も若気の至りかと思う今日この頃)
私はMTGの緊張感に飲み込まれて、何をどう説明したか、記憶がさだかではないのですが、隣に座っている上司の手が震えていたことは、はっきりと覚えています。本当に申し訳ない気持ちで一杯でした。
結局、このMTGが契機となり、A社はうちの会社にコンサル費用を払ってくれました(実はその後、この案件を別会社が担当したらしいのですが、同じ状況でプロジェクトは破綻したようです。別会社の状況を考えるとさすがに笑えません)
当時の現場の仲間とは、今も飲み会等でこの時の話になります。「あの時のプロジェクト内の異様な雰囲気は何だったんだろうね」と・・・
彼らも今では管理職になり、日々苦労している様子が伺えます。でも、全員が「上司ってさ、ある程度部下を信頼して仕事を任せなくてはならない局面があるよな。だけど任せきりにせず、上司が部下の最後の拠り所になってやらないと、部下も動けないんだよ。そのことはいつも頭の片隅においているよ。」と同じことを口にします。この話をする時、全員の頭にあの時の上司の姿があるのではないかと思います。
さて、この場を借りて感謝の気持ちを、この上司に伝えてみたくなりました
「あの時は、成長の機会を頂きありがとうございました。あなたのDNAは当時の仲間全員がしっかり受け継いでいます」
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私も、日本を支える大企業の、さまざまなプロジェクトのコンサルティグ、コーチングをする毎日、この上司のいきざまは胸にきます。そしてsolmicは間違いなくこの上司のDNAを引き継いでいると、一緒に仕事をしていて思います。こんな上司のもと、メンバーが安心して力を発揮できるようになったら、チームの生産性と充実感が高まりますね。上司の皆さま、こんなポジティブ・スパイラルを回し始めませんか?
>「上司ってさ、ある程度部下を信頼して仕事を任せなくてはならない局面があるよな。だけど任せきりにせず、上司が部下の最後の拠り所になってやらないと、部下も動けないんだよ。そのことはいつも頭の片隅においているよ。」
この言葉、私の上司にはない気がします…。
聞かせてあげたい。
でも室伏順子さんやsolmicさんがいらっしゃる限り、こんな素敵な上司がどんどん増えてくださると信じてます。
私もいつかはこのDNAを引き継ぎたいです。
室伏さん
過大評価して頂き、ありがとうございます(^^;)。私なぞ、まだまだ未熟者ですので、危険なDNAの兆候を感じては反省、の繰り返しです。試行錯誤しつつも、この上司に近づけるよう努力したい!と思っています。
ききさん
ブログでは偉そうに書いていますが・・当時の仲間も私も、部下と接する時に色々と失敗しています。それでも”目指す上司像”があるから、失敗しても素直に反省したり、頑張ろう!という気持ちを維持できていたりするのだと思っています(とはいえ、毎日が修行・・・)。
この上司への恩返し、という訳ではないですが・・・ポジティブ・スパイラルを回すことのできる環境を増やしていきたいですね。