Vol.29:先を読んで動く(1) |
今の時期、人事・育成・教育の部門にいらっしゃる方々は、新人研修等、来期の育成計画等で忙しいのではないかと思います。
私が担当しているお客様も例外ではありません。
企業としての育成方針を決め、来年度の研修に向けて準備する時期ですので、自然とお客様とのやり取りも熱が入ったものになります。
これは、お客様と我々教育コンサルタントの間に限ったことではなく、お客様同士でも熱い議論に発展してしまうことがあります。
最近こんなことがありました。
数年来、室伏さんと一緒に研修を依頼されているお客様先に訪問し、来年度の中堅社員向けの育成方針についてお客様側のご意見を伺っていた時のことです。
その時、お客様側からは、育成担当の方(仮にAさんとします)と開発現場の方(仮にBさんとします)の2名が参加されていました。
MTGが終了した直後、Aさんが何か言い忘れていたらしく、Bさんに話しかけました。
Aさん :「そうそう、Bさん。うちさぁ、最近トラブル増えているよね。昔は、もう少し気を利かせて動く社員がいたと思うんだよ。来年度は”先を読んで動く”というのも強化事項として入れていいんじゃないかな?」
Bさん :「はぁ?何言ってるんですか?Aさんは、現場を知らないからそんなこと言えるんですよ。大体"先を読んで動く"っていうのは、ちょっと大らかな気持ちで居られる環境でないと中々育つもんじゃないですよ。いい?現場は、これからどうなるのだろう?って心配をして過ごさなければならなかったり、周りが何となくセカセカしているような環境にいるんだよ。これだと”先を読んで動く”ことはおろか、考えることもできなくなってくると思うんだよ!」
一気にMTGの場に緊張が走りました。(正直なところ、ちょっとBさんに同調している自分もいましたが・・・)
丁度、先日ブログに書いた「暗黙知」について考えていた時でしたので、
「現場では確かに余裕が無くなってきていますよね。私も昨年研修のオブザーブしている時にそのような声を聞いたことがあります。”先を読んで動く”には・・・例えば、本人の経験値や先輩社員からの「暗黙知」の伝達とかも関係してきますよね。研修ですと、ポイントを押さえて実施する必要があります。先にAさんが言われた強化事項を含めるならば、我々で現場にヒアリングを行うことを考えてみましょうか?」
逃げ道を作ったことで、一旦MTGはお開きとなりましたが、その帰り道に、過去にも同じような会話があったことを思い出しました。
ある先輩が「どのような仕事でも”先を読んで動く”ことが大切である。最近はそれがなっていない。」と話した時です。
その瞬間、現場の他の先輩からは・・・
「確かにできる人とできない人がいるよ。それは人の特性によるものだから仕方ないんじゃない?」
「先を読む、というのは、本人の仕事に対する緊張感と経験だから・・特に若手にそれを言うのは酷だよ。」
「分からないでもないけどさ、当たり前のことを当たり前にできた後のStepじゃねーの?そんな余裕無いと思うよ。」
等々・・・その場は一気にヒートアップ。
全体的には”先を読んで動く”ことが仕事で大切、という点については、全員同意していました。が、そのことを他人に求めるのは無理、という意見が多数を占めていたと思います。
(確かに「Vol.20:今年を振り返って・・・来年は?!」の”仕事でストレスを溜めない方法”に”人に過剰な期待はしない”ってありましたが・・あ、冗談です)
ですが、本当に”先を読んで動く”というのは本人の意識や経験値に任せるしかないのでしょうか?
solmicは禅問答状態に入ってしまいました。
<つづく>
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コメント |
「先を読む」とは、つまり形式知化されていない言葉なので、
“できる人にしかできない”“余裕がなければできない”
“経験が浅いと無理”となりがちです。
同じように「空気を読む」というのが昨年あたりの質問に
多かったです。
“空気って、どうやって読むんですか?”と現場の方から
どまともに質問されるのです。
コンサルタントの力は、「先を読む」「空気を読む」を、
その方の置かれている場に応じて、形式知化することです。
…ときに“んなこと、自分で考えればわかるでしょう…”と
思うこともなきにしもあらずなんですが、彼らは真剣なんですよね。
思うに、形式知化する力が弱ってきているんでしょう。
これも小学校から高校に至る12年間「オペラント条件付け」で
育成されてきた弊害の一つですね。
プライベートでお酒を飲んでいても、
普通の日常の経験を、形式知化して語るその内容に、
その人らしさがでて楽しく感じるものですが、
この力が弱い方は、話が深まらず、薄い時間を過ごすことになって
しまいます。
この力をつければ、仕事でもプライベートでもお得ですね。
「形式知化する力をつける」トレーニングでも考えましょうか(笑)
室伏さん、こんばんは
「オペラント条件付け」ときましたか・・・、有益な刺激には、より積極的に、有害な刺激には、それを避けるような行動を得る学習でしたよね? 学校ってそういう場でしたか???(自覚が無いだけかもしれませんが・・・)
「形式知化力トレーニング」いいですね。宿題として?じっくり考えさせて頂きます
学校教育で「オペラント条件付け」というと、
少し頑張ればできる課題を与えて正解させて成功体験を与え、
また少しだけハードルを上げた課題を与えて正解させ・・・
というのを繰り返すことを指します。
こうすることで、本人も自覚しない間に、大きな苦労なく、
そうとう高い山に登らせてしまうことが可能です。
この教育方法の弊害は、「物事にはいつも一つの正解がある」
という神話を、
妥当解はあってもたった一つの正解などない
ビジネスや人生にまで持ち込みがちなこと。
さらに、ちょっと頑張っても正解が見えないような課題は、
取り組む意欲や勇気が湧くどころか、嫌悪し、避けようとすること。
ご一緒にコンサルティングをしてる某社の社員の皆さまの、
こんな発言がありましたよね。
お手伝いを始めて2年くらい経った頃でしょうか。
「あ、室伏さん、おはようございます。
今日は室伏さんが来る日、ということは、“考える日”ですね!」
彼らはいつもは“考えない”のだと明言していました。
“考えなくてすむのだ”とも。
そこを数年がかりで“考える人”に成長するお手伝いができたことは、
あちらのお客さまで私達が成し遂げてきたことの中でも、
誇れることの1つだと思います。
考えるようになれば、さらに悩みや葛藤も深くなります。
考え、現場で新しい工夫をして行動すれば、
そうでない方々との間で軋轢も起きます。
今後はそれをサポートしていくコーチングのお仕事が、
以前より必要でしょう。
そういう数年を過ごすことで、組織自体が「学習する組織」と
なっていただけることを祈念して、これからもご一緒に
智恵と力を出していきましょうね!
私の場合は、できるだけ「考える」ことを意識しています。
例えば、仕事の中で上司からの指示に疑問(質問)が出てきた時などに、
上司に「どうすれば良いですか?」という感じですぐに質問するのではなく
まず、上司は何を望んで私に指示をしたのだろう?と
言葉の表面上の指示ではなく、奥にある意図を「考える」ようにしています。
その「考える」プロセスの中で自分の考えが整理されて
疑問が解ける事があったり、上司に対して、より具体的な質問が可能になったりします。
なぜ、私が「考える」ことを意識するようになったのか?
うーん・・・?
恐らく、今の私の職場が客先に常駐で、上司との連絡が会議の場かメールに限られているからかもしれません。
自然に『上司への質問は、ポイントを押さえて!』という考えが根付いているのでしょうか。
理由は何にせよ、「考える」ことによって、
自分の考えが整理できるとか
少し先のことが見えてくるとか
そういったことがあるのかもしれませんね。
くろさま
コメントありがとうございます。
客先常駐をしていると、想像力や考える力を発揮するようにしないと、
うまく仕事が回っていきませんね。
(それでも、指示待ちの方も多いようですが 笑)
神経を使うことも多いのではないかと思いますが、
舌苔をとりつつ、ときに白湯で浄化しながら、
いいお仕事をなさってくださいね!
くろさまのコメント、ブロガーたち始め、
システム担当スタッフや事務スタッフ、そして他の読者の方々も、
とても楽しみにしています。
是非また、コメントを残してくださいね!
> 室伏さん
「学習する組織」への道は常に険しいですし、私自身、誇れる仕事をしているかどうかまだ「?」です。が、徐々にでもお客様先で成果が見えてくることが、この仕事をしていて何より嬉しいですよね。知恵と勇気で進んでいきましょう。
> くろさん
「考えること」を意識して仕事されているのは、素晴らしいことと思います。私は「考える」よりは「動く」方が楽ですので・・・ブログに書くこと、コメントを頂いて読むことで、「考える」機会を与えてもらっていると感じています。
コメントありがとうございます。