あなたの人生を輝かせるコミュニケーションの力
話を聴くということ

4.質問のスキル (4/10)

気に入っていることと気に気に入らないこと

何かのテーマについて質問をしていて、答えがどうもはっきりしない、何が大切で、何がどうでもいいと考えているのか、答えるご本人も明確に認識していないように思える時があります。

そんな時こそ、質問をする皆さんの方で、ご本人が考えをまとめるのを助けてあげて下さい。こちらが的確に質問することで、相手が自分自身のことに気づいていくのに立ち会うのは、創造的な体験です。

そんな時、役に立つのが、そのテーマについて、“どこが一番好きですか?” “何が気に入って、それを買ったのですか?” “一番気に入っているところは、どこですか?”という質問をしてみることです。この質問はかなり効果的で、実は、今までそれが当たり前で考えたこともなかったけれど、そう質問されて改めて振り返ってみると、これは手放してもいいものだった、と気づいたりします。

あるいは、そこで話してくれる内容には、その方が大切にする価値観や人生観が含まれていることもしばしばです。

逆に、“一番気に入らないところは、どこですか?” “何が、一番いやですか?” “次に変えるとしたら、どんなものにしたいですか?”という質問も、同じように効果的です。ここには、将来の希望、望み、目標が見え隠れすることが多いのです。

こういう質問を的確に投げて、それに応じて話して下さることを丁寧に傾聴し、そこからまた新たな質問をたてて投げかけていく、こういった繰り返しをすることで、相手は自分の考えをかなりまとめていくことができるのです。有能なコンサルタントやカウンセラーは、もっとも適切な答えはご本人がもっている、という信念のもとにこのような手続きを踏んでいくようです。

また、ここで出てきた回答をもとに、何か新しいことを提案していく場合には、気に入っている点は今後も踏襲し、気に入らない点を改善する方向で会話を進めると、相手の心理と思考にそったものになりますね。人は、今現在気に入って持っているものを手放すように言われると、それが、たとえ古びていようと、疲れていようと、役に立たなくなっていようと、とても抵抗を示すものなのです。あなたは、いかがですか?
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