あなたの人生を輝かせるコミュニケーションの力
話を聴くということ

4.質問のスキル (10/10)

質問を受けるということ

今までお話ししてきたことの背後に見え隠れしていたように、質問というのは、なかなかどうしてすごい力を秘めていて、よくよく考えるとちょっとした怖さを感じることさえあります。

さぁ、これから質問をしますよ、という気持ちになると、人は、"あの、質問してもいいですか?"ときくことがあります。そんな時、わたしは、つい、"いいえ、ダメです"などと言ってしまうのです。

うっかり"はい"と言ったが最後、人は答えることを自分に課し始めます。次々なされる質問に、どう答えようか、と迷うことはあっても、"答えようか、答えまいか"と迷うことは、あまりありません。

そして、答えられずに黙ったり、あるいは勇気をだしてある質問に答えることを拒んでみても、なされた質問は頭の中に残り、その後の思考に微妙に影響を与えていきます。

こんなことを何度となく経験し、また仕事で観察しているので、“質問してもいいですか?”には、反射的に“No!”と言ってしまうのでしょう。もっとも、そう言っても信頼関係が壊れない時に限りますが。

質問が、単に情報を集めるのに役立つだけでなく、相手に気づきを与え、成長を促すことさえできることをご理解頂けたと思います。部下指導や、育児などにも、もっと活用してみてくださいね。

人は、自分でもうすうす気づいていることを他人から指摘されると面白くなく、ときに抵抗をしますが、自分で気づいたことは、喜んで取り組みます。上司に、"おまえのプレゼンは、なってないな。次回までになんとかしろよ"と言われて喜んでプレゼンテーション・スキルを磨く方というのは、想像できません。そう言うかわりに、“君の作る資料は、話の筋道が理路整然としていて、わかりやすいね。これを、プレゼンテーションで皆に理解してもらうには、どうしたらいいと思う?”などと問い掛けてあげたらいかがでしょうか?きっと、今までとは違う展開になるはずです。
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