あなたの人生を輝かせるコミュニケーションの力
A New way of Improving & Caring for Oneself


                              室 伏 順 子
オプション・メニュー              ソフィア ヒューマン キャピタル(株) 代表取締役社長

 §30.聴く力とは

 さまざまな企業から、システム・エンジニア、営業担当者、カスタマ・エンジニアに“きく力”をつけてほしい、と依頼されます。

 “うちの営業は、お客さまのところでしゃべりすぎて、ちゃんと話をきいてこない。” “うちのSEは、お客さまがおっしゃることを、ただ、はいはい、ときいてくるだけで、どうしようもない”

ということで、聴く力をつけるコースを開発することになり、半年くらいの間、有能なビジネス・パーソンに、彼らの"聴き方"について、インタビューをしたことがあります。システム・エンジニア、営業担当者、カスタマ・エンジニアはもとより、新聞記者、コンサルタント、会社経営者など、人に会って話を聴く機会の多い、さまざまなお仕事の方に広くお目にかかりました。

 お願いした基準は、次の3つをすべて満たす方であることです。まず、お客さまからの評価の高い方であること、社内での評価の高い方であること、ご本人が楽しんで仕事をなさっている方であること、この3つです。今現在、もっとも求められ成果を出しているのは、この3つを兼ね備えた方だと、つねづね考えているからです。

 お会いするだけでインスパイアされるような素晴らしい方々が、ご自身の経験から身につけた“聴く哲学”を語って下さり、感銘を受けたものです。

 「“聴く”ということは、そのテーマについてあらかじめ勉強したり、相手について予備知識を仕入れたり、質問項目を用意したりという下準備はもちろんですが、大切なのは、話を聴きながら、その人物がどういう人となり(全体像)で、何を考え、どんな意見をもっているのか、(絵として)イメージできるように、聴いていくことです。」

 「(複数の方に聴いていく場合)誰が、どういう意見をもっているかを知って、白地図に加筆していくことです。」

 「相手が言葉にすることだけをヒアリングするのではなくて、相手の"中身"はどうであるのか、という本音を探ることが大切です。」

 「何を聴くか、よりもっと大切なことは、出会った人と信頼関係をむすぶこと、誠実さです。」

 「日頃の問題意識が大切です。日頃、広く問題意識をもち、自分の認識の枠をひろげておくことです。」

 「自分の個性や考え方のクセを知っておくことです。聴くということは、どうしても自分のフィルターを通して相手を捉えることになるわけですから。」

 含蓄のある言葉ですね。私達としては、こういう哲学を、どのように言動に表していくのか、具体的に何をどうしたらよいのか、を考える必要があります。

 各界のプロにおききした中で、彼らが具体的にやってきて成功したこと、失敗したことなどをまとめると、そこには、業界や立場を越えて、共通の要素が浮かび上がってきました。それは、大まかに次の3つに集約できます。

 @対人敏感性
 A質問、傾聴スキル
 B情報マイニング

 この3つの前提として、相手の方との誠実な人間関係が大切であることは、いうまでもありません。それは、第2章 T.相手の立場にたつということ §25.話のできる関係を作るでお話ししました。これがなくては、当然それに続くコミュニケーションが実りあるものになることは期待できません。

 また、ある方がお話しして下さいました。いい関係さえできていれば、一回のミーティングでききそこなっても、あとからメール、電話で、いくらでもきいていくことができる、と。

 それでは、@ABを順に考えていきましょう。





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■ 目 次 ■
プロローグ (2001.12.11)
第1章 自分を知る、自分を探す
T.人とのかかわりのなかで、自分をみつめなおす
 §1.コミュニケーションのタイプ (2001.12.27)
 §2.ソーシャル・スタイル (2002.01.08)
U.2つの切り口
 §3.思考表現度とは (2002.01.15)
 §4.思考表現度の高い方の特徴 (2002.01.22)
 §5.思考表現度の低い方の特徴 (2002.01.29)
 §6.感情表現度とは (2002.02.05)
 §7.感情表現度の高い方の特徴 (2002.02.13)
 §8.感情表現度の低い方の特徴 (2002.02.19)
V.4つのスタイル
 §9.人から見た私 (2002.02.26)
 §10. アナリティカル/思考派 の特徴 (2002.03.04)
 §11.ドライバー/行動派の特徴 (2002.03.12)
 §12.エミアブル/協調派の特徴 (2002.04.04)
 §13.エクスプレッシブ/感覚派の特徴 (2002.04.09)
 §14.自分が知っている私、人から見た私 (2002.04.17)
W.あなたを活かす
 §15.ソーシャル・スタイルの活かし方 (2002.04.23)
 §16.アナリティカル/思考派
                あなたの強みと弱み
(2002.05.07)
 §17.ドライバー/行動派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.13)
 §18.エミアブル/協調派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.27)
 §19.エクスプレッシブ/感覚派の
                あなたの強みと弱み
(2002.06.04)
 §20.スタイルの活かし方 (2002.06.14)
 §21.あなたの活かし方 (2002.06.20)
 §22.人との違いを知ることで見えてくるもの (2002.07.05)
 §23.ストレスなく相手と合わせるコツ (2002.07.16)
第2章 自分を育てる
T.相手の立場にたつということ
 §24.コミュニケーションの流れ (2002.07.24)
 §25.話のできる関係を作る (2002.07.30)
 §26.相手を知る (2002.08.09)
 §27.それに応える (2002.08.27)
 §28.合意する (2002.09.11)
U.話を聴くということ
 §29.聴くことの威力 (2002.10.07)
 §30.聴く力とは (2002.10.16)
 §31.対人過敏性 (2002.10.29)
 §32.質問のスキル 〜1/10〜 (2002.11.07)
   1.事実と意見 〜2/10〜 (2002.11.13)
   2.直接と間接 〜3/10〜 (2002.11.19)
   3.気にっていることと
            気に入らないこと
〜4/10〜 (2002.11.27)
   4.魔法の杖 〜5/10〜 (2002.12.06)
   5.問い返すということ 〜6/10〜 (2002.12.13)
   6.わからない時は? 〜7/10〜 (2002.12.19)
   7.相手の答えを
          コントロールすること
〜8/10〜 (2002.12.26)
   8.5W1Hが教えてくれること 〜9/10〜 (2003.01.08)
   9.質問を受けるということ 〜10/10〜 (2003.01.16)
 §33.傾聴のスキル (2003.01.24)
 §34.情報マイニング (2003.01.30)
 §35.話す目的 (2003.02.06)
 §36.準備すること
 §37.話の組み立て
   1.序論 〜1/3〜 (2003.02.21)
   2.本論 〜2/3〜 (2003.03.05)
   3.結論 〜3/3〜 (2003.03.14)
 §38.説明のスキル (2003.03.25)
 §39.話し方 (2003.04.01)
W.納得していただくということ
 §40.立ち居振舞い (2003.04.11)
 §41.創造的問題解決法 (2003.04.18)
 §42.交渉していく場合 (2003.04.25)
 §43.Noという場合 (2003.05.09)
X.喜んでいただくということ
 §44.自分を活かす (2003.05.16)
 §45.顧客満足 (2003.05.23)
 §46.ホスピタリティー (2003.06.05)
Y.自分を育てるということ
 §47.自分を育てるということ (2003.06.20)
第3章 新しい出発
T.セルフ・リーダーシップ
 §48.新しいリーダシップ (2003.08.29)
 §49.セルフ・リーダーシップ・スキル (2003.09.05)
U.セルフ・コントロール
 §50.思考・感情・言動の関係 (2003.09.12)
 §51.思考の働き (2003.09.19)
 §52.思考を変える、自分を変える (2003.09.26)
V.今を生きる
 §53.過去・現在・未来 (2003.10.03)
 §54.過去を生きる、今を生きる (2003.10.14)
W.関係性から離れる
 §55.関係性の幻想 (2004.01.07)
 §56.個を生きる (2004.01.26)
 §57.知恵を取り戻す (2005.03.07)
 §58.知るということ (2005.03.07)
X.夢を育てる
 §59.必要なだけの努力 (2005.03.07)
 §60.あなたを満たす10のメニュー (2005.03.07)
 §61.あなたを満たすと起ること (2005.03.07)
Y.自分自身になる
 §62.価値の転換 (2005.03.07)
 §63.自分自身になる (2005.03.07)

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