あなたの人生を輝かせるコミュニケーションの力
A New way of Improving & Caring for Oneself


                              室 伏 順 子
オプション・メニュー              ソフィア ヒューマン キャピタル(株) 代表取締役社長

 §46.ホスピタリティー


 §42で、顧客満足、サービスといったものが、マニュアル通りの同じ笑顔、同じ言葉、同じ行為の繰り返しではないことが、ご理解いただけたと思います。

 まして、お客さまの選択の基準が、そこと関わることが快適かどうか、自分の理念にあっているかどうか、価値が感じられるかどうか、ということになってきているとすると、仕事をするということのポイントが、“決められたことをすること”から“お客さまに求められることと、こちらの提供したいことの、より高い次元での接点を創造すること”に移っていきます。

 そのような時代には、全体を視野に入れた、真のホスピタリティーが試されます。以前からそうでしたが、お客さまに最も喜ばれることというのは、けしてこちらを殺して行うこと、こちらの犠牲や負担の上に成り立っている行為ではないのです。顧客満足では、3つの満足という言葉があります。それは、お客さまの満足、それを提供するあなたの満足、あなたの所属する会社や組織の満足の3つです。この3つが重なった部分での満足を考えていくのが顧客満足の考え方です。

 そして、お客さまにとって、あなたやあなたの会社と関わることが快適かどうか、自分の理念にあっているかどうか、価値が感じられるかどうか、がより関心事になってきているならば、あなたとしては、より“あなたらしくなる”、つまり、“わたしなら、こうします”“これが私のサービスです”と胸を張って言えるようになっていくことが、それに応えることですね。

 仕事は、いい時ばかりではありません。たとえば、トラブルがあったとします。トラブルは、一定の率で起こってきますし、避けて通ることはできません。そこであなたができることは、お客さまから“大変な目にあったけれど、あなたに応対してもらってよかった。また、あなたにお願いしたい。あなたと一緒に仕事をしたい”と言っていただくことです。

 同じトラブルでも、それに際してお客さまの感情や言動はさまざまです。もっとも頼りないのは、いずれに対しても、ひたすら謝り、本人は誠心誠意対応しているつもりなのでしょうが、こちらから見ると、突然の事態に慌てている素人にしか見えないようなやり方ですが、実際これは、日常よく見かける光景です。

 今日その仕事についたのでれば、今日からは、プロです。怒っているお客さまに対しては、一緒になって感情を乱したりせず、安定した態度で応対し、まずはその怒りを吐き出させて混乱を鎮めた上で、細かいことではなく、大枠の意見や希望をおききして、自分に任せてほしい、と請合うくらいのことは、堂々とやってほしいものです。

 逆に、トラブルの早期収拾を強い命令口調で言い放ち、こちらの説明など耳も貸さないお客さまには、怯えることなく、四の五の言わず、相手の具体的な希望と優先順位をききだし、それに対してこちらができることとその期限を明確に伝え、早速処理を始めるなどのスキルは、当然身につけてほしいところです。

 そういった基本的なスキルはあたりまえのこととして発揮する上に、さらに、あなたの価値を加えていってほしいのです。

 そのために必要なのは、むつかしいことを考えたり、自分に厳しくすることではない、と思います。ホスピタリティーは、自分をまずもてなしてこそ、人にも発揮できるものではないでしょうか?自分を大切に扱わないでいて、相手だけ大切に扱おうとしても、相手はあなたを心から信頼し、寛ぎ、喜ぶでしょうか?あなたの雰囲気は、言葉以上に雄弁に相手に語ります。疲れて神経が過敏になっている方のそばにいると、それだけで、こちらも神経が不快に刺激されますね。自分がいっぱいいっぱいで今にも壊れそうな状態でいては、どんなに工夫をして相手に接しても、相手は気を使くれていることはわかりますが、快適とはいいがたく、自然と離れていってしまうことでしょう。

 今の時代を生きる多くの方に一番伝えたいのは、今ここにある、この時点での自分を認めて、よく頑張ってきたじゃない、と労わってあげてほしい、ということです。あそこもまだ、ここも足りない、と四六時中追い立てる声に少しの間、黙ってもらって、いままで頑張ってきたから、ここまでこれたね、よく頑張ったね、と褒めてあげてほしいのです。この先は、そこからしか始まらない、と、多くの参加者を見てきて、そう思うのです。





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■ 目 次 ■
プロローグ (2001.12.11)
第1章 自分を知る、自分を探す
T.人とのかかわりのなかで、自分をみつめなおす
 §1.コミュニケーションのタイプ (2001.12.27)
 §2.ソーシャル・スタイル (2002.01.08)
U.2つの切り口
 §3.思考表現度とは (2002.01.15)
 §4.思考表現度の高い方の特徴 (2002.01.22)
 §5.思考表現度の低い方の特徴 (2002.01.29)
 §6.感情表現度とは (2002.02.05)
 §7.感情表現度の高い方の特徴 (2002.02.13)
 §8.感情表現度の低い方の特徴 (2002.02.19)
V.4つのスタイル
 §9.人から見た私 (2002.02.26)
 §10. アナリティカル/思考派 の特徴 (2002.03.04)
 §11.ドライバー/行動派の特徴 (2002.03.12)
 §12.エミアブル/協調派の特徴 (2002.04.04)
 §13.エクスプレッシブ/感覚派の特徴 (2002.04.09)
 §14.自分が知っている私、人から見た私 (2002.04.17)
W.あなたを活かす
 §15.ソーシャル・スタイルの活かし方 (2002.04.23)
 §16.アナリティカル/思考派
                あなたの強みと弱み
(2002.05.07)
 §17.ドライバー/行動派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.13)
 §18.エミアブル/協調派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.27)
 §19.エクスプレッシブ/感覚派の
                あなたの強みと弱み
(2002.06.04)
 §20.スタイルの活かし方 (2002.06.14)
 §21.あなたの活かし方 (2002.06.20)
 §22.人との違いを知ることで見えてくるもの (2002.07.05)
 §23.ストレスなく相手と合わせるコツ (2002.07.16)
第2章 自分を育てる
T.相手の立場にたつということ
 §24.コミュニケーションの流れ (2002.07.24)
 §25.話のできる関係を作る (2002.07.30)
 §26.相手を知る (2002.08.09)
 §27.それに応える (2002.08.27)
 §28.合意する (2002.09.11)
U.話を聴くということ
 §29.聴くことの威力 (2002.10.07)
 §30.聴く力とは (2002.10.16)
 §31.対人過敏性 (2002.10.29)
 §32.質問のスキル 〜1/10〜 (2002.11.07)
   1.事実と意見 〜2/10〜 (2002.11.13)
   2.直接と間接 〜3/10〜 (2002.11.19)
   3.気にっていることと
            気に入らないこと
〜4/10〜 (2002.11.27)
   4.魔法の杖 〜5/10〜 (2002.12.06)
   5.問い返すということ 〜6/10〜 (2002.12.13)
   6.わからない時は? 〜7/10〜 (2002.12.19)
   7.相手の答えを
          
コントロールすること
〜8/10〜 (2002.12.26)
   8.5W1Hが教えてくれること 〜9/10〜 (2003.01.08)
   9.質問を受けるということ 〜10/10〜 (2003.01.16)
 §33.傾聴のスキル (2003.01.24)
 §34.情報マイニング (2003.01.30)
V.話すということ
 §35.話す目的 (2003.02.06)
 §36.準備すること (2003.02.14)
 §37.話の組み立て
   1.序論 〜1/3〜 (2003.02.21)
   2.本論 〜2/3〜 (2003.03.05)
   3.結論 〜3/3〜 (2003.03.14)
 §38.説明のスキル (2003.03.25)
 §39.話し方 (2003.04.01)
 §40.立ち居振舞い (2003.04.11)
W.納得していただくということ
 §41.創造的問題解決法 (2003.04.18)
 §42.交渉していく場合 (2003.04.25)
 §43.Noという場合 (2003.05.09)
X.喜んでいただくということ
 §44.自分を活かす (2003.05.16)
 §45.顧客満足 (2003.05.23)
 §46.ホスピタリティー (2003.06.05)
Y.自分を育てるということ
 §47.自分を育てるということ (2003.06.20)
第3章 新しい出発
T.セルフ・リーダーシップ
 §48.新しいリーダシップ
 §49.セルフ・リーダーシップ・スキル (2003.09.05)
U.セルフ・コントロール
 §50.思考・感情・言動の関係 (2003.09.12)
 §51.思考の働き (2003.09.19)
 §52.思考を変える、自分を変える (2003.09.26)
V.今を生きる
 §53.過去・現在・未来 (2003.10.03)
 §54.過去を生きる、今を生きる (2003.10.14)
W.関係性から離れる
 §55.関係性の幻想 (2004.01.07)
 §56.個を生きる (2004.01.26)
 §57.知恵を取り戻す (2005.03.07)
 §58.知るということ (2005.03.07)
X.夢を育てる
 §59.必要なだけの努力 (2005.03.07)
 §60.あなたを満たす10のメニュー (2005.03.07)
 §61.あなたを満たすと起ること (2005.03.07)
Y.自分自身になる
 §62.価値の転換 (2005.03.07)
 §63.自分自身になる (2005.03.07)

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