あなたの人生を輝かせるコミュニケーションの力
A New way of Improving & Caring for Oneself


                              室 伏 順 子
オプション・メニュー              ソフィア ヒューマン キャピタル(株) 代表取締役社長

  Y.自分自身になる

  §62. 価値の転換

第三章のところどころでご案内してきたように、新しい時代になると、価値の転換が起ります。今まで美徳だった“頑張る”“気を使う”“競争に勝つ”ということが、逆に自分自身の調和を乱し、全体のバランスを壊すことになりかねません。

皆さんもすでに気づいているのではないでしょうか。たとえば、いまだに強烈な競争原理の中に生きていて、タフに戦い抜こう生き延びようと、自分を殺し相手を叩きながら歯をくいしばって頑張っている方をみて、どこかから回りしている、一人で昔の相撲をとっている、そんなふうに感じた瞬間はありませんか。いったい何をそんなに恐れているのだろう、何と戦っているのだろう、自分を満たすこともできないで、と、意識の深いところで、かすかに思ったことはありませんか。そんな時、皆さんは、新しい時代の価値を感じていたのです。

この章でご案内したスキルや考え方、ヒントは、読むだけではどうにも納得ができない、むしろ、危惧や矛盾を感じることもあるのではないか、と思います。私自身がそうでしたから、よくわかりますし、私も成長の過程にいます。もしあなたにとってお役に立つものなら、心のどこかに気になる思いが残り、必要な時がきたなら、きっと思い出してやってみることになるでしょう。ですから、何の心配もいりません。

新しい時代にあなたを助けていくだろうやり方は、他にもたくさんあります。たとえば、ご自身の夢を毎日書き続けていらっしゃる方がいます。夢といっても、究極の夢を一つ、というと別の力が入ってしまいますから、40、50という数を目途に、毎日ノートに書き綴るのです。そうすると、一週間のうちには叶う夢も出てきます。そうすると、叶ったことがうれしくて、そのことがあなたを助け、エネルギーを与え、そしてまた書き綴る、その繰り返しがあなたを大きくし、大きな夢に近づけてくれるのです。

また、今のままの自分でいいんだよ、と誰かが言ってくれるのを待つのではなく、自分で言ってあげる時の、その自分自身への伝え方などお教えすると、その場で五感に変化を感じられる方が想像以上に多いのです。

自分に対しても、部下やまわりの方に対しても、褒めることの力をもっともっと使うことをお勧めします。褒めることが、まるでそうすると取り返しのつかないことになるように感じる方の多いことには、いつも驚かされます。叱ること、罰することでも、たしかにアウトプットとしては同じ結果を出すことになるかもしれません。けれども、相手と自分に与える影響、また、それを含む全体に与えるものは、かなり異なりますね。

今まで褒めることをしてこなかった方は、まず、自分を実験台に褒めるスキルを身につけて下さい。褒め方も、目的に応じていろいろありますが、自己成長に焦点をあてた場合には、こんなやり方が役に立つでしょう。ご自身の言動を振り返る時、まず、よくできた点を3点、具体的に意識し、その後改善点を1点だけ明確にするのです。ポイントは、よくできた点を先にすること、振り返りはできるだけ具体的で観察可能、測定可能な表現ですること、よくできた点はなるべくたくさん、改善点は一つに絞ることです。ふつう、改善点を最初に、しかもひどくたくさん挙げる方が多くいらっしゃいますが、そういう方が、では次回にそこを改善するか、というと、まずそうはなさいません。人が一度に改善できるのは、一つか二つでしょう。ならば、たくさん反省するより、一つだけ取り上げ、そのことだけは、次回に必ず改善することにした方が、成長が早いと思いませんか?

こんな褒め方なら、けして甘やかすことにはなりません。むしろ、よくできた点も、改善点も、具体的、観察可能、測定可能な表現ができるようきちんと把握することになるので、今までより、自分に厳しく向かいあうことになるのです。そして、改善点が改善されやすくなるだけではなくて、よくできた点も明確に言語化し意識化することで、より洗練され、よりよくできるようになっていくのです。

自分のことを自分で正しく評価しないで、誰がしてくれるでしょうか。また、自分を正しく認められないで、どうして人を正しく認められるでしょうか。

インターインディペンデントの時代には、自分のこともまわりのことも褒めることを恐れないで下さい。



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■ 目 次 ■
プロローグ (2001.12.11)
第1章 自分を知る、自分を探す
T.人とのかかわりのなかで、自分をみつめなおす
 §1.コミュニケーションのタイプ (2001.12.27)
 §2.ソーシャル・スタイル (2002.01.08)
U.2つの切り口
 §3.思考表現度とは (2002.01.15)
 §4.思考表現度の高い方の特徴 (2002.01.22)
 §5.思考表現度の低い方の特徴 (2002.01.29)
 §6.感情表現度とは (2002.02.05)
 §7.感情表現度の高い方の特徴 (2002.02.13)
 §8.感情表現度の低い方の特徴 (2002.02.19)
V.4つのスタイル
 §9.人から見た私 (2002.02.26)
 §10. アナリティカル/思考派 の特徴 (2002.03.04)
 §11.ドライバー/行動派の特徴 (2002.03.12)
 §12.エミアブル/協調派の特徴 (2002.04.04)
 §13.エクスプレッシブ/感覚派の特徴 (2002.04.09)
 §14.自分が知っている私、人から見た私 (2002.04.17)
W.あなたを活かす
 §15.ソーシャル・スタイルの活かし方 (2002.04.23)
 §16.アナリティカル/思考派
                あなたの強みと弱み
(2002.05.07)
 §17.ドライバー/行動派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.13)
 §18.エミアブル/協調派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.27)
 §19.エクスプレッシブ/感覚派の
                あなたの強みと弱み
(2002.06.04)
 §20.スタイルの活かし方 (2002.06.14)
 §21.あなたの活かし方 (2002.06.20)
 §22.人との違いを知ることで見えてくるもの (2002.07.05)
 §23.ストレスなく相手と合わせるコツ (2002.07.16)
第2章 自分を育てる
T.相手の立場にたつということ
 §24.コミュニケーションの流れ (2002.07.24)
 §25.話のできる関係を作る (2002.07.30)
 §26.相手を知る (2002.08.09)
 §27.それに応える (2002.08.27)
 §28.合意する (2002.09.11)
U.話を聴くということ
 §29.聴くことの威力 (2002.10.07)
 §30.聴く力とは (2002.10.16)
 §31.対人過敏性 (2002.10.29)
 §32.質問のスキル 〜1/10〜 (2002.11.07)
   1.事実と意見 〜2/10〜 (2002.11.13)
   2.直接と間接 〜3/10〜 (2002.11.19)
   3.気にっていることと
            気に入らないこと
〜4/10〜 (2002.11.27)
   4.魔法の杖 〜5/10〜 (2002.12.06)
   5.問い返すということ 〜6/10〜 (2002.12.13)
   6.わからない時は? 〜7/10〜 (2002.12.19)
   7.相手の答えを
          
コントロールすること
〜8/10〜 (2002.12.26)
   8.5W1Hが教えてくれること 〜9/10〜 (2003.01.08)
   9.質問を受けるということ 〜10/10〜 (2003.01.16)
 §33.傾聴のスキル (2003.01.24)
 §34.情報マイニング (2003.01.30)
V.話すということ
 §35.話す目的 (2003.02.06)
 §36.準備すること (2003.02.14)
 §37.話の組み立て
   1.序論 〜1/3〜 (2003.02.21)
   2.本論 〜2/3〜 (2003.03.05)
   3.結論 〜3/3〜 (2003.03.14)
 §38.説明のスキル (2003.03.25)
 §39.話し方 (2003.04.01)
 §40.立ち居振舞い (2003.04.11)
W.納得していただくということ
 §41.創造的問題解決法 (2003.04.18)
 §42.交渉していく場合 (2003.04.25)
 §43.Noという場合 (2003.05.09)
X.喜んでいただくということ
 §44.自分を活かす (2003.05.16)
 §45.顧客満足 (2003.05.23)
 §46.ホスピタリティー (2003.06.05)
Y.自分を育てるということ
 §47.自分を育てるということ (2003.06.20)
第3章 新しい出発
T.セルフ・リーダーシップ
 §48.新しいリーダシップ (2003.08.29)
 §49.セルフ・リーダーシップ・スキル (2003.09.05)
U.セルフ・コントロール
 §50.思考・感情・言動の関係 (2003.09.12)
 §51.思考の働き (2003.09.19)
 §52.思考を変える、自分を変える (2003.09.26)
V.今を生きる
 §53.過去・現在・未来 (2003.10.03)
 §54.過去を生きる、今を生きる (2003.10.14)
W.関係性から離れる
 §55.関係性の幻想 (2004.01.07)
 §56.個を生きる (2004.01.26)
 §57.知恵を取り戻す (2005.03.07)
 §58.知るということ (2005.03.07)
X.夢を育てる
 §59.必要なだけの努力 (2005.03.07)
 §60.あなたを満たす10のメニュー (2005.03.07)
 §61.あなたを満たすと起ること (2005.03.07)
Y.自分自身になる
 §62.価値の転換 (2005.03.07)
 §63.自分自身になる (2005.03.07)

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