あなたの人生を輝かせるコミュニケーションの力
A New way of Improving & Caring for Oneself


                              室 伏 順 子
オプション・メニュー              ソフィア ヒューマン キャピタル(株) 代表取締役社長

 §31.対人敏感性

 あなたが、誰かと顔を見合わせながらコミュニケーションしているところを思い浮かべて下さい。お互いに会話を交わしながら、コミュニケーションをしています。そんな時、思わず微笑んだり、目を見つめたり、視線をはずしたり、眉をしかめたり、そっとささやくように声を落としたり、ちょっと高いトーンにしてみたり、指先や手が動いて何かを表現したり、首をかしげたり、横をむいたり、と、言葉にならない部分も含めてコミュニケーションをしていますね。

 “最近元気なの?”と問い掛けた時、“ええ、もちろん、とても元気よ”という言葉が返ってきても、その表情が冴えなかったり、声が落ち込んでいれば、“ははぁん、何かあったな”と誰でも察しますね。いくら言葉で“とても元気”と言ってみても、誰もそうは思いません。

 このように、顔を合わせてコミュニケーションをする場合、人は表情や声のようすから、ときに言葉をしのぐほどのメッセージを受け取っているのです。

 数年前、UCLAでコミュニケーションを学んできた友人が、単位にはならないけれど、素敵なおじいさま教授がいらして、面白いお話をきいてきた、と教えてくれました。

 その教授は、人生の大半をかけて世界を巡り、人がどのようにコミュニケーションをとるのをつぶさに研究してきた結果、次のような結論に到達したそうです。

 対面のコミュニケーションの場合、人は、次の3つの要素からメッセージを受け取っている。その3つは、

 @ 言葉(文字で記述できる部分を意味します)
 A 声の調子(聴覚で捉えられる情報のうち、@以外のものです)
 B 態度・表情(視覚で捉えられる情報です)

 そして、@ABをあわせて100%とすると、それぞれは、どのくらいの割合になるか。

 授業で問い掛けられた友人は、とっさに頭の中で数字を想像したそうです。皆さんは、それぞれ、どのくらいだと思いますか?3つの要素のうち、どれが一番大きいと思いますか?

 この素敵なおじいさま教授は、実は、とても高名なアルバート・メラビアン教授とおっしゃり、手話の国際共通語の研究などを専門とし、何度か来日されたこともある方です。

 彼は、次のような数字を発表しています。

@言葉 7%
A声の調子 38%
B態度 ・表情 55%

 これは、世界数十の民族を調査した結果ですが、日本人のみを対象として調査なさったのが、実践女子大でパフォーマンス学を研究している佐藤綾子教授です。佐藤教授によると、日本人の場合、次のような数字になったそうです。

@言葉 8%
A声の調子 32%
B態度 ・表情 60%

 メラビアン教授の数字と大差ないですね。世界標準からみると、日本人は、いくらか言葉に重きをおいている、といえるでしょうか。また、声の調子(大きさ、抑揚、強弱、メリハリなど)は比較的平坦な分、表情を読む、腹を読むことに長けている、というように感じました。

 こういった調査から学びたいのは、コミュニケーションでは、相手が話してくれる言葉だけではなく、非言語メッセージにどれほど敏感になれるか、ということが、大きなポイントになるということです。それは、どなたも漠然とお感じになっていることとは思いますが、この数字は、その認識を新たにするのに十分なのではないでしょうか。

 ことに仕事の場面では、もちろんこの数字がいつもこのままあてはまるとは限りませんが、意外に言葉に気をとられて、もっと大切なことを忘れがちなように思います。





 前へ                              次へ

            
■ 目 次 ■
プロローグ (2001.12.11)
第1章 自分を知る、自分を探す
T.人とのかかわりのなかで、自分をみつめなおす
 §1.コミュニケーションのタイプ (2001.12.27)
 §2.ソーシャル・スタイル (2002.01.08)
U.2つの切り口
 §3.思考表現度とは (2002.01.15)
 §4.思考表現度の高い方の特徴 (2002.01.22)
 §5.思考表現度の低い方の特徴 (2002.01.29)
 §6.感情表現度とは (2002.02.05)
 §7.感情表現度の高い方の特徴 (2002.02.13)
 §8.感情表現度の低い方の特徴 (2002.02.19)
V.4つのスタイル
 §9.人から見た私 (2002.02.26)
 §10. アナリティカル/思考派 の特徴 (2002.03.04)
 §11.ドライバー/行動派の特徴 (2002.03.12)
 §12.エミアブル/協調派の特徴 (2002.04.04)
 §13.エクスプレッシブ/感覚派の特徴 (2002.04.09)
 §14.自分が知っている私、人から見た私 (2002.04.17)
W.あなたを活かす
 §15.ソーシャル・スタイルの活かし方 (2002.04.23)
 §16.アナリティカル/思考派
                あなたの強みと弱み
(2002.05.07)
 §17.ドライバー/行動派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.13)
 §18.エミアブル/協調派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.27)
 §19.エクスプレッシブ/感覚派の
                あなたの強みと弱み
(2002.06.04)
 §20.スタイルの活かし方 (2002.06.14)
 §21.あなたの活かし方 (2002.06.20)
 §22.人との違いを知ることで見えてくるもの (2002.07.05)
 §23.ストレスなく相手と合わせるコツ (2002.07.16)
第2章 自分を育てる
T.相手の立場にたつということ
 §24.コミュニケーションの流れ (2002.07.24)
 §25.話のできる関係を作る (2002.07.30)
 §26.相手を知る (2002.08.09)
 §27.それに応える (2002.08.27)
 §28.合意する (2002.09.11)
U.話を聴くということ
 §29.聴くことの威力 (2002.10.07)
 §30.聴く力とは (2002.10.16)
 §31.対人過敏性 (2002.10.29)
 §32.質問のスキル 〜1/10〜 (2002.11.07)
   1.事実と意見 〜2/10〜 (2002.11.13)
   2.直接と間接 〜3/10〜 (2002.11.19)
   3.気にっていることと
            気に入らないこと
〜4/10〜 (2002.11.27)
   4.魔法の杖 〜5/10〜 (2002.12.06)
   5.問い返すということ 〜6/10〜 (2002.12.13)
   6.わからない時は? 〜7/10〜 (2002.12.19)
   7.相手の答えを
          コントロールすること
〜8/10〜 (2002.12.26)
   8.5W1Hが教えてくれること 〜9/10〜 (2003.01.08)
   9.質問を受けるということ 〜10/10〜 2003.01.16)
 §33.傾聴のスキル (2003.01.24)
 §34.情報マイニング (2003.01.30)
 §35.話す目的 (2003.02.06)
 §36.準備すること
 §37.話の組み立て
   1.序論 〜1/3〜 (2003.02.21)
   2.本論 〜2/3〜 (2003.03.05)
   3.結論 〜3/3〜 (2003.03.14)
 §38.説明のスキル (2003.03.25)
 §39.話し方 (2003.04.01)
 §40.立ち居振舞い (2003.04.11)
W.納得していただくということ
 §41.創造的問題解決法 (2003.04.18)
 §42.交渉していく場合 (2003.04.25)
 §43.Noという場合 (2003.05.09)
X.喜んでいただくということ
 §44.自分を活かす (2003.05.16)
 §45.顧客満足 (2003.05.23)
 §46.ホスピタリティー (2003.06.05)
Y.自分を育てるということ
 §47.自分を育てるということ (2003.06.20)
第3章 新しい出発
T.セルフ・リーダーシップ
 §48.新しいリーダシップ (2003.08.29)
 §49.セルフ・リーダーシップ・スキル (2003.09.05)
U.セルフ・コントロール
 §50.思考・感情・言動の関係 (2003.09.12)
 §51.思考の働き (2003.09.19)
 §52.思考を変える、自分を変える (2003.09.26)
V.今を生きる
 §53.過去・現在・未来 (2003.10.03)
 §54.過去を生きる、今を生きる (2003.10.14)
W.関係性から離れる
 §55.関係性の幻想 (2004.01.07)
 §56.個を生きる (2004.01.26)
 §57.知恵を取り戻す (2005.03.07)
 §58.知るということ (2005.03.07)
X.夢を育てる
 §59.必要なだけの努力 (2005.03.07)
 §60.あなたを満たす10のメニュー (2005.03.07)
 §61.あなたを満たすと起ること (2005.03.07)
Y.自分自身になる
 §62.価値の転換 (2005.03.07)
 §63.自分自身になる (2005.03.07)

Sophia Human Capital 2002-2005 (C) All Rights Reserved