あなたの人生を輝かせるコミュニケーションの力
A New way of Improving & Caring for Oneself


                              室 伏 順 子
オプション・メニュー              ソフィア ヒューマン キャピタル(株) 代表取締役社長

 §39.話し方

 
十分気を配って準備をしても、実際にお話しする時に、どんな話し方をするかで、印象は全く異なってしまいます。メラビアンの法則によれば、準備した資料(言葉)は7%、話し方(声の調子)は38%でしたね。

 なにもプロのように話す必要はありません。流暢に話すこともなければ、日常とは異なるパフォーマンスも必要ありません。ただ、ここでは、きき手がいることを忘れず、きき手に影響を与えるのが自分の役割だという意識をもっていただきたいと思います。常々日本人はプレゼンテーションが上手ではない、と言われます。その原因を私なりに考えると、なるべく正確に話そう、もれがあったり間違えてはいけないという気持ちが強すぎて、きき手と関係をもとう、双方向で作り上げていこう、というプレゼンテーションならではの意味をあまり重要視していないケースが多いように思えます。

 正確さを期するなら、すべてをドキュメントにして送付すればすむことです。それをなぜ、わざわざ時間をとってプレゼンテーションするのでしょうか?それは、人の認識や行動に変化を起こさせるのは、資料ではなく、人の働きかけであるからではないでしょうか?

 普段、対面でお話していると魅力的な方でも、プレゼンテーションとなると急に堅苦しくなり、むつかしい言葉を使い出し、声が強張り、自然な表情も消え、その方らしさがなくなって精彩を欠くのをたくさん見てきました。

 誰でも人前で話すには、正確でありたい、自分の主張に賛同してほしい、きき手に気に入られたい、いい気分でやり遂げたいと思うものです。でも、その気持ちが強すぎると、緊張感が高まってしまい、きき手との関係を築きにくくなり、結局はいい結果にならないものです。

 そういったことを踏まえた上で、話し方についていくつかのポイントをあげてみましょう。

 話し方のポイントとしては、まず、声の調子があります。声の大きさ、抑揚、トーン、速さ、間、発声、滑舌、語尾の明瞭さなどです。大きさや抑揚、トーンは、メリハリをつけるのに役立ちます。抑揚は、ソーシャル・スタイルと関係が深く、もともと抑揚の少ない話し方をする方が、プレゼンテーションの時だけ無理に抑揚をつけようとして意識をしすぎると、本人にとっても周りにとっても悲劇です。むしろ、話の初めやポイントになるところで、声の大きさとトーンを上げる工夫をしてみて下さい。

 プレゼンテーションの時は、通常よりゆっくり話すとききやすいものですが、実際は、緊張から早口になりがちですね。それが気になる方は、気づいた時に二呼吸くらいゆっくりと間をとることを心がけると、その間にきき手の理解が追いついて、それまでの早口が帳消しにされます。

 発声、滑舌では、朝一番にプレゼンテーションがある日は、その前に一度は口をはっきり開けて、大きな声を出してから臨んで下さい。

 語尾の明瞭さでは、日頃、語尾がはっきりとしている方は、問い掛ける時にはむしろソフトにする工夫をすると、きき手が落ち着いて考えることができます。反対に、日頃、語尾がソフトな方は、ポイントを伝えるところでは、短い文章できっぱりと言い切るように意識すると、ぐっと引き締まります。

 声を魅力的にするには、発声練習や呼吸法も役立ちますが、笑顔でお話しするのが、手軽で効果的です。

 その他、結論から先に話す、わかりやすい日常語を使う、文章を短くする、一つの文には要点を一つにするなどの工夫で、理解していただきやすくなります。

 また、句読点の位置(一呼吸置く場所)で意味が変わってくる文章があることに注意して下さい。たとえば、次のような文章です。

 A.「風の強い海岸で、子猫が、砂まみれになって転がっていく
   ボールを追いかけている。」

 B.「風の強い海岸で、子猫が砂まみれになって、転がっていく
   ボールを追いかけている。」

 Aでは、砂まみれになっているのはボールですね。ところが、Bでは、子猫が砂まみれになっています。

 最後に、話すことを一語一句原稿にしないことです。原稿にすると、きき手ではなく、原稿に意識がいきます。手元には、キーワードだけが目に入るメモを用意なさるといいでしょう。




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■ 目 次 ■
プロローグ (2001.12.11)
第1章 自分を知る、自分を探す
T.人とのかかわりのなかで、自分をみつめなおす
 §1.コミュニケーションのタイプ (2001.12.27)
 §2.ソーシャル・スタイル (2002.01.08)
U.2つの切り口
 §3.思考表現度とは (2002.01.15)
 §4.思考表現度の高い方の特徴 (2002.01.22)
 §5.思考表現度の低い方の特徴 (2002.01.29)
 §6.感情表現度とは (2002.02.05)
 §7.感情表現度の高い方の特徴 (2002.02.13)
 §8.感情表現度の低い方の特徴 (2002.02.19)
V.4つのスタイル
 §9.人から見た私 (2002.02.26)
 §10. アナリティカル/思考派 の特徴 (2002.03.04)
 §11.ドライバー/行動派の特徴 (2002.03.12)
 §12.エミアブル/協調派の特徴 (2002.04.04)
 §13.エクスプレッシブ/感覚派の特徴 (2002.04.09)
 §14.自分が知っている私、人から見た私 (2002.04.17)
W.あなたを活かす
 §15.ソーシャル・スタイルの活かし方 (2002.04.23)
 §16.アナリティカル/思考派
                あなたの強みと弱み
(2002.05.07)
 §17.ドライバー/行動派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.13)
 §18.エミアブル/協調派の
                あなたの強みと弱み
(2002.05.27)
 §19.エクスプレッシブ/感覚派の
                あなたの強みと弱み
(2002.06.04)
 §20.スタイルの活かし方 (2002.06.14)
 §21.あなたの活かし方 (2002.06.20)
 §22.人との違いを知ることで見えてくるもの (2002.07.05)
 §23.ストレスなく相手と合わせるコツ (2002.07.16)
第2章 自分を育てる
T.相手の立場にたつということ
 §24.コミュニケーションの流れ (2002.07.24)
 §25.話のできる関係を作る (2002.07.30)
 §26.相手を知る (2002.08.09)
 §27.それに応える (2002.08.27)
 §28.合意する (2002.09.11)
U.話を聴くということ
 §29.聴くことの威力 (2002.10.07)
 §30.聴く力とは (2002.10.16)
 §31.対人過敏性 (2002.10.29)
 §32.質問のスキル 〜1/10〜 (2002.11.07)
   1.事実と意見 〜2/10〜 (2002.11.13)
   2.直接と間接 〜3/10〜 (2002.11.19)
   3.気にっていることと
            気に入らないこと
〜4/10〜 (2002.11.27)
   4.魔法の杖 〜5/10〜 (2002.12.06)
   5.問い返すということ 〜6/10〜 (2002.12.13)
   6.わからない時は? 〜7/10〜 (2002.12.19)
   7.相手の答えを
          
コントロールすること
〜8/10〜 (2002.12.26)
   8.5W1Hが教えてくれること 〜9/10〜 (2003.01.08)
   9.質問を受けるということ 〜10/10〜 (2003.01.16)
 §33.傾聴のスキル (2003.01.24)
 §34.情報マイニング (2003.01.30)
V.話すということ
 §35.話す目的 (2003.02.06)
 §36.準備すること (2003.02.14)
 §37.話の組み立て
   1.序論 〜1/3〜 (2003.02.21)
   2.本論 〜2/3〜 (2003.03.05)
   3.結論 〜3/3〜 (2003.03.14)
 §38.説明のスキル (2003.03.25)
 §39.話し方 (2003.04.01)
 §40.立ち居振舞い (2003.04.11)
W.納得していただくということ
 §41.創造的問題解決法 (2003.04.18)
 §42.交渉していく場合 (2003.04.25)
 §43.Noという場合 (2003.05.09)
X.喜んでいただくということ
 §44.自分を活かす (2003.05.16)
 §45.顧客満足 (2003.05.23)
 §46.ホスピタリティー (2003.06.05)
Y.自分を育てるということ
 §47.自分を育てるということ (2003.06.20)
第3章 新しい出発
T.セルフ・リーダーシップ
 §48.新しいリーダシップ (2003.08.29)
 §49.セルフ・リーダーシップ・スキル (2003.09.05)
U.セルフ・コントロール
 §50.思考・感情・言動の関係 (2003.09.12)
 §51.思考の働き (2003.09.19)
 §52.思考を変える、自分を変える (2003.09.26)
V.今を生きる
 §53.過去・現在・未来 (2003.10.03)
 §54.過去を生きる、今を生きる (2003.10.14)
W.関係性から離れる
 §55.関係性の幻想 (2004.01.07)
 §56.個を生きる (2004.01.26)
 §57.知恵を取り戻す (2005.03.07)
 §58.知るということ (2005.03.07)
X.夢を育てる
 §59.必要なだけの努力 (2005.03.07)
 §60.あなたを満たす10のメニュー (2005.03.07)
 §61.あなたを満たすと起ること (2005.03.07)
Y.自分自身になる
 §62.価値の転換 (2005.03.07)
 §63.自分自身になる (2005.03.07)

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